北斗の拳生誕30周年記念特別インタビュー

北斗の拳生誕30周年記念特別インタビュー北斗語り北斗語りとは

日本マンガ史にその名を刻む名作「北斗の拳」が2013年、連載開始「30周年」を迎える。
この記念すべき年を意義あるものにすべく、原作の公式親善大使が豪華ゲストを迎えて対談。
これまで語られてきた北斗、語られていない北斗。
北斗に魅せられし者たちが届ける大型新連載、愛深きゆえに行われる。

林修

林修

VOL15林修

ついに…ついに「掲載」された、北斗の拳・新エピソード。興奮冷めやらぬ精神状態にあるのは、決して皆さんだけにあらず。原作公式親善大使を務めるこの私もまた、ジュウザの息子であるショウザ、そしてケンシロウにメッセージを送り続ける黒王号に大興奮しております。まさに激アツ号となった今月号、恒例の北斗語りは東進ハイスクールの講師である林修先生(※1)。名ゼリフと共に彗星のごとく現れ、昨年の新語・流行語大賞年間大賞を受賞したのはあまりにも有名な話だが、大の北斗ファンという事実はあまり知られていない。今回は、そんな林先生の中で燃える“知られざる北斗愛”を徹底的に語っていただこうと思う。

【※1】林修
1965年愛知県名古屋市生まれ。東京大学法学部卒。現在東大・京大コースなどの難関コースを中心に授業を行い、抜群の東大合格実績を誇る東進ハイスクール東進衛星予備校の躍進に大貢献している。東進のテレビコマーシャルでのセリフ「いつやるか?今でしょ!」より「今でしょ」は見事2013ユーキャン新語・流行語年間大賞を受賞。

──ガル憎(以下略)本日はよろしくお願いします。

林修(以下略)はい。よろしくお願いします!

──僕は現在、40歳。北斗が始まった時は9歳でした。先生は…。

高校生でしたかね。いや、違う。ちょうど大学に入った時かな? 僕の記憶だと「美味しんぼ(※2)」と同時期くらいじゃないですかね?

【※2】美味しんぼ
小学館『ビッグコミックスピリッツ』で1983年から連載が開始され、いまなお続いている原作=雁屋哲、作画=花咲アキラによる料理マンガ。新聞社の社員である山岡士郎と栗田ゆう子を主人公に、食をテーマとした多彩なストーリーを展開。山岡士郎の父にあたる海原雄山との確執や料理対決が多くのファンを魅了し続けた。
発売元:小学館

──『美味しんぼ』! 意外なタイトルが出てきましたね。

その2作品に対して「画期的なマンガが始まったなあ~」と思った記憶があるんですよ。

──おお~。画期的…ですか。なんか現在の先生に通ずるというか、分析的な角度で見られてたんですね。

印象としてはそうでした。画期的だなあと思ったんですよ、本当に。

──ちなみに、9歳の僕が読んだ北斗と高校生、大学生あたりで読んだ北斗では、受ける印象とか、読解力みたいなものが違うというか。どんな感覚で読まれてましたか?

セリフがオシャレでしたよね。悪者がケンシロウにやられる。自分が死に向かっていることに気づかないっていうね。ケンシロウが「死んでいることに気づいてないのか?」とか言うじゃないですか。どんな悪い奴でも、さすがに自分が死んでいることに気づかないやつはいない、この類の一連のセリフは画期的でした。

──はいはい。お前はもう死んでいる系の決めゼリフですね。

僕の中では、フィクションなら徹底的にフィクションにしてほしいっていうのがあるんですよね。

──つまり、そういうタイムラグが生じるような死に方…。

そう。思い切りフィクションですよね、ああいう死に方って。

──あ~。なるほど、そういう意味ですか。僕は半信半疑みたいな、もしかしたらそういうこともあるかもしれないと思ってました。なんせまだ9歳だったんで…。まさに読解力が違ったということですね。

さすがに、いまはもう信じてないですよね?

──あはは。そうですね。目撃例も無いんで、そうなりますね。北斗の拳はフィクションです(笑)。

安心しました。というか、僕は映画なんかでも、無意味な破壊の多い映画が好きなんですよ。ドッカンドッカンやってるような。フィクションとしての完成度を追求するんです。

──そういう角度で北斗を語られた方は…いないことは無いんですが珍しいかもしれません。

これは考え方が別れるところで、リアルだからいいと言う人、フィクションとしての完成度が高いからいいと言う人がいるんですよね。

──となると、僕は前者ですね。