今回の対戦相手は、当連載が始まって以来、初めての外国人。あのソフトバンクのCMでお馴染みの俳優のダンテ・カーヴァー氏(※1)正直に言わせてもらうと、彼が北斗好きとは知らなかった。だが、某バラエティ番組で北斗のフィギュアを奥さんに内緒で買って怒られたとか、夜な夜な友達の家に行って北斗のアニメや映画を観ているとか、興味津々の情報を続々と入手。これは相当な北斗マニアだろうということで対談の依頼をすると見事に快諾。海を越えて愛された北斗。その海の向こうにいたファンとの語らいが始まった。
【※1】ダンテ・カーヴァー
1977年、アメリカに生まれる。2005年に日本に居住し2007年からスタートしたソフトバンクのテレビCM「白戸家シリーズ(白戸小次郎役)」で一躍有名人に。その親しみやすさから2008年度タレント好感度調査、2009年CM好感度調査でそれぞれ第1位を獲得。身長186cm、体重82kg。俳優やモデルなども務める。
──ガル憎(以下略)それでは今日はよろしくお願いします。
ダンテ・カーヴァー(以下略)よろしくお願いします!
──まずはテレビの…フィギュアを買って奥さんに怒られたという。
あ~。はい。そうです…(苦笑)。
──そもそも、どういうきっかけで好きになったんですか?
お父さんの友達が月に1回くらい日本に仕事で行っていて、お土産をもらっていました。マンガとかお菓子とか日本の物、たくさん。
──その中に、北斗の拳の単行本などが入っていたんですか?
最初は北斗の拳とドラゴンボールの単行本でした。お父さんの友達がテレビで北斗の拳を観て、かっこいいと思ったから、僕に。日本で流行っているんだよと教えてもらいました。
──なるほど。当時の日本の流行をリアルタイムで知ったんですね。
そうです。当時はイタリアに住んでました。その時、もちろん日本語は分からないので、絵だけ見て話を想像していました。でも、少ししてイタリアでも北斗の拳のアニメが始まりました。そこでやっと、字幕でストーリーが分かりました。
──北斗の拳の、どういうところに惹かれたんですか? 日本人として非常に興味があるのですが。
アクションと、絵です。絵がとてもカッコイイ。アメコミも大好きで読んでいるけど、スタイルが違う。
──今日もスーパーマンのTシャツを着てますもんね。
ははは。そうです。アメコミではスーパーマンがナンバーワン。僕のヒーローです。でも日本のコミックマンガでは北斗の拳です。
──絵に関しては、当時の日本人も衝撃を受けたんです。それまでの少年マンガとは違ったし、あとは拳法のインパクトも大きくて。
分かります。だから僕は、北斗の拳を読んで武道を始めました。アメリカンスタイルじゃないから、新鮮だと思って、たくさんマネしました。
──おお。そのまま武道を始めるというところが凄いですね。
あとは…ケンシロウのコスチュームですね。とてもカッコイイ。少しバイカーみたい? バイクに乗る人。
──あ~。なるほど。ハーレーとかに乗るバイカーファッション的な。
あとは日本の…カブ…ト?
──兜? ラオウなどの?
そう。兜です。ヨーロッパで言うナイトのようなスタイル。ナイトは…。
──ナイト。つまり、騎士ですね。
そうそう、騎士です。ヨーロッパの騎士と日本の兜をミックスしたようなスタイルが、とてもクールですね。
──原作もアニメも、しっかり観ていたという意味では、日本人のファンと同じですよね。
あとは、ムービー。北斗の拳、映画になりました。アニメじゃない。
──アニメじゃない? あ~。実写版の北斗ですね! アメリカで作られた伝説の実写版!(※2)
【※2】
北斗唯一の実写版『Fist of the North Star 北斗の拳』アメリカと日本の共同製作で1995年に公開。ラオウやトキ、南斗六聖拳などは一切登場せず、ケンシロウとシンのオリジナルストーリーで物語が進行する。ユリア役を務めた鷲尾いさ子を除き、すべてハリウッド俳優が演じているが、マイナー作品の部類に入っている。 DVD発売中 4,725円(税込) 発売元/東映ビデオ 販売元/東映
ゲイリー・ダニエルズ。私はよく知っています。分かりますか?
──ゲイリー・ダニエルズ?
ケンシロウです。その人が、映画でケンシロウをやりました。
──へえ。ゲイリー・ダニエルズっていう名前だったんですね(※3)。
【※3】ゲイリー・ダニエルズ
イギリス出身の元キックボクサーにして俳優。8歳から格闘技、12歳からテコンドーを始め、16歳で黒帯を習得し1979年にキックボクサーデビュー。プロの格闘家としてケンシロウ役にキャスティングされ、出演の影響から、後に生まれた三男に「Kenshiro」と名付けた。日米合作の『外道/GEDO』などにも出演した。
はい。毎年サンディエゴで開催されるアニメフェス(※4)があって、去年そこに行った時、たまたまトイレで一緒になったんです。
【※4】
毎年7月~8月にカリフォルニア州サンディエゴで4日間に渡って開催されるマンガや映画などの大衆文化に関するコンベンション。来場者数は1日で10万人を超えるほどの大掛かりなイベントで「コミコン(Comic-Con)・インターナショナル」が正式名称。
→公式サイト
──おお。トイレでケンシロウに遭遇したんですか!(笑)
そうです(笑)。私は子ども時代から彼に憧れていました。ケンシロウの俳優ですから。あとは、彼の影響でマーシャルアーツ(武術)も始めました。
──それは嬉しいですね。憧れの人が急に目の前に現れるというのは。
とても嬉しかったです。そこで名刺も交換して電話番号も聞いて、いまでも交流があります。
──そっか~。なんか会って話したくなりますね。もちろん、この北斗語りの対談相手として。
とてもいいアイデアですね。その時は私がキャスティングします。
──ははは。お願いします!
日本ではゲイリー・ダニエルズは有名じゃない。でも、ヒーローです。