性格や生き方もですけど、ビジュアルも重視して見ちゃいます。
──それはプロレスラー、格闘家ならではの目線ですね。
筋肉ですね、筋肉。どうしてもそこに目が行っちゃうんで。
──原先生は筋肉の構造とか、そういうものを研究された上でリアルに描いてらっしゃるんで、棚橋さんのように筋肉と向かい合っている方からすればそこも魅力なんですね。
ええ。三角筋、二頭筋、三頭筋。筋肉ごとに絵を見ちゃいますね。さっき好きなキャラの1位はケンシロウって言いましたけど、ヒーローの条件は肩が大きいことなんです。ケンシロウは、肩がデカい。そこがいい。
──あ~。なるほど。
肩が大きいと、顔が小さく見えるんです。だから読んでいて、顔より肩が大きくてカッコいいなあと思ったりするんです。あと、さらに言えばウエスト。締まりが良い!(※3)。

【※3】
棚橋氏がストーリー以外の部分で注目していたのが「筋肉」。そう言われてみると、たしかにケンシロウは肩の筋肉が大きくて顔が小さめ、さらにウエストが締まっているというイメージがある。顔が小さめなのか肩の筋肉によってそう見えるかなど、ある意味では新たな目線と言える。
──はいはい。たとえばラオウなんかは違いますもんね(※4)。僕なんかは筋肉とか体型とでキャラを選んだことが無いタイプなんで、それは新鮮な意見で面白いです。
【※4】
★ケンシロウ
身長=185cm 体重=100kg バスト=132cm ウエスト=90cm
★ラオウ
身長=210cm 体重=145kg バスト=160cm ウエスト=115cm
ケンシロウは主人公としても好きだし肉体的にも最高なんですよ。
──仮面ライダーも大好きなんですよね?(※5) ストレートなヒーローというか。棚橋さんは主人公を好きになるタイプですか?
【※5】
フィギュアをコレクションするなど、生粋の仮面ライダーマニアでもある棚橋氏。これまでも仮面ライダーW、仮面ライダーフォーゼのセリフなどを幾度となく使用。また、入場時や試合終了後に仮面ライダー轟鬼のBGMを流しエアギターを披露し、ファンを喜ばせることもある。
主人公、主役が好きですね。主役を自分に重ねて。たとえばケンシロウが負けるじゃないですか。でも、必ず復活して強くなって勝つ。そういうのを見るとスカッとするんです。
──まさに、それを自分に置き換えることができますもんね。
そこなんです。プロレスで相手にやられてもやられても、負けてもリベンジするし勝とうとしますから。
──この対談は、ケンシロウを1位に挙げる人が少ないんです。いま話してて思ったのは、自分の立場が大きく関係あるのかなって。棚橋さんはプロレスラーで、まさに肉体的な強さを求める。最強になろうとする考えが根底にありますよね。そういう人たちって、やっぱりヒーローだったり主役を好きになるのかなって。
ありますね。脇役より主役。プロレスラーという立場なんで、真ん中に立っていたいという気持ちです。
──なんか分かった気がします。僕なんかがケンシロウを1位に挙げないのは、実際に闘ってないからかもしれませんね。プロレスラーでも格闘家でもない。普通の人なんで、人情キャラに走ってしまうというか。
あ~。言われてみると、そういうのはあるかもしれませんね。僕なんて目指してますからね、本気で。
──そこです、そこ! リアルに目指してるかどうかですよ、きっと。
う~ん。たしかに。だって僕、ケンシロウみたいに袖を切った革ジャンが似合う男になりたいんで(笑)。
──やっぱり!そうか。なんか分かりました。実際に目指すか、単に憧れるか。自分と重ねているかどうかの違いなのかもしれません。