──ちなみに、おいくつですか?
今年で、42歳です。
──おお。いま僕が39歳なんで、ほぼ同世代というか黄金のジャンプ世代ということになりますね!
そうですねえ。でも北斗って数世代あって、たぶん、アニメ世代も……。
──あ~~。僕らの次の世代。アニメがメインな世代がありますね。若い人は特に。
私はどっちかっていうと、アニメよりも原作世代なので。
──そう! そこ大事ですよね。僕は途中からアニメを観なくなりましたからね。原作にいないキャラとか技とか勝手に出てくるし。
私もあんまり観てないですね。
──もう、あまりにも絵が下手で腹が立つんですよ、観てて。
ははは。そうなんですよね(苦笑)。
──俺の北斗になにしてくれるんだという、ある種の怒りです。
コロコロ絵が変わってましたね。顔もぜんぜん違う。
──ええ。だから僕は後輩が「アニメ版の北斗で勉強してます!」とか言ってくると「そんなもん見ずに原作を読め!」と警告しますから。
はははは。僕はそこまではしてませんでしたが、原作愛というか、そういうものはありますね。
──僕は、原作以外で北斗を描いているものに対しては、本当に厳しい目で見るんです。そういう中で、北斗無双のオープニング。あれはもう完璧でした。もう、本当に凄いです。
ありがとうございます。映像という意味で言えば、最初に作ったのがあのオープニングですね。(※3)
【※3】オープニング
ガル憎氏のみならず多くの北斗ファンが衝撃を受けた「北斗無双」のオープニング映像。ユリアがサザンクロスから身を投げるシーンから始まり、そこからケンシロウ、ジャギ、マミヤ、レイ、ラオウが続々と登場する。原先生も手放しで評価したこの映像は、北斗の歴史に刻まれるだろう。
──イメージは、どのように構築されたんですか?
やっぱり北斗はユリアが身を投げるところからだよね…と。
──おお! 北斗の物語はそこから始まるのだ、という感じで。
あとは、やっぱりあれを作ることによって、北斗の拳を現在のゲームで表現するとこういう風に蘇るよということを伝えたくて。アピール映像じゃないですけど、そういう想いもあって心血を注ぎました。
──あれは、僕が見た動く北斗の中でもダントツで1位です。原先生とお会いした時にそのオープニング映像の話になって、僕が「南斗水鳥拳とかカッコイイですよね!」って言ったら先生も「そう。あれが僕の中にある南斗水鳥拳のイメージそのものなんだよ!」って言われてました。
その北斗無双の発表会に武論尊先生が来られてまして、サラリと「これで映画を作ってくれれば…」みたいなことを、普通の顔で(苦笑)。
──あははは! あの2分足らずのオープニングに、どれだけの時間と予算を要したか。ちなみに原先生も似たようなことを…「プレイ中もあの映像だったらいいのにね」。サラリと言われましたね。
とんでもない予算が必要になってしまいますよ。
──ですね。もしお金を出してくれるならいくらでもやるけど…みたいな感じですよね?
………そうですね(笑)。
──ちなみに、そのグラフィックに対しての「こだわり」というのは。
ビジュアルに関しては、アニメでも無いしマンガでも無い。ゲーム機だとこうだよねという部分を作りたかったのはあります。後は改めて原作を見直して。世の中の映像イメージもあると思うんですけど、ウチも35年ほどゲーム作ってますからコーエーテクモらしさのデザインと言いますか。北斗を再現しつつ、自分たちらしさを出せたと思います。
──たしかに、コスチュームとかそうですよね。シンのブーツの先端が尖ってるとか、紫色のイメージとか。
作り手としては、当然ながら原先生にもチェックしていただいたりするんですが、そのままだと「トレースじゃないんだから」的な。ウチで作ったケンシロウだぞとか、強敵(とも)だぞという部分を見せたかったんです。