──この第1話のラストシーンでケンシロウが荒野に向かって歩くんですが。
うん。バットが付いて行ってね。
──じつはですね……。ケンシロウの胸に七つの傷が無いんですよ(※6)。
【※6】北斗の拳 第1話より
え~。そんなハズは…(と言いながら生原稿をチェック)……あれ!
──はい。そうなんです。
いや~。ぜんぜん気づかなかったな~。あら? こっちも描いてないじゃん!
──あ…はい。そうなんです。1箇所しか言う勇気が…。
マズいな~。でもこれ、生原稿か。う~ん。いま描いちゃおうか(笑)。
──あはははは! もしそうなったらスゴいですね。50代の原先生が20代の原先生の絵を完成させる!
ガル憎君。これ、なんで究極版が出る前に言ってくれなかったの?
──いや。たしかにそれは思いました。もし対談と究極版の発行のタイミングが合ってれば、そこで言えたかな…と。
誰も言ってくれなかったよ、いままで。
──逆に言えないんだと思います。過去の話を掘り起こすようなものですから。
でも、ガル憎君は言ってくれたじゃない。
──そこは…愛ゆえに…いや、すいません。いま少しカッコつけてしまいました。正直に言うのは、かなり勇気がいりました。
でも、ありがとう。じゃあ、究極版が重版になる時が来たら直そうか。
──おお! そうなったら、逆にこの対談が大きな意味を持ちますね!
これは是非、直しましょう。
──そう言っていただけると、僕の勇気が意味を持つというか、今回の対談に天命を感じます。まだまだ徹底的に聞かせてもらっていいですか?
うん。この際だから、なんでも遠慮なく聞いてもらおうかな。
──ありがとうございます!
天空に連なる七つの星 その「宿命」に感謝する日々
2004年8月5日。俺が初めて先生とお会いした日。それはまるで、神様に会ったような衝撃だった。そこから原作の公式親善大使となり顔や名前も覚えてもらい、気さくに話してもらえるようになった現在。だが決して浮かれることなく、多くのファンのため、この企画を始めた。想像もしていなかった人生だが、これも北斗の星に魅せられた自分の「宿命」と考え突き進んでいる。七つの傷のことを話したのも宿命に対する勇気。宿命に立ち向かい北斗を後世に残すためなら、俺はなんでも聞く。
ラオウ没後の新エピソード 特別付録にて再び語り合う
ここから面白くなりそうなのに…という場面で終わった今回。後編となる次号を楽しみにしていただきたいのだが、そんな後編の前に今回は特別付録があり(注:月刊コミックゼノン12月号の特別付録を指しております)、そこで、すべての北斗ファンが注目する新エピソード読み切りについての話をしている。50代の原哲夫が20代の原哲夫に挑戦。共に、歴史の目撃者となろう!!

Interviewer ガル憎
フリーライター。1974年1月4日、広島県に生まれる。北斗の”第一世代”とも称される生粋の団塊ジュニアかつ原作の公式親善大使で、広島東洋カープファン。原哲夫らとの交流も深く、映画「真救世主伝説 北斗の拳 ZERO ケンシロウ伝」のエンドロールにも名を刻む。好きなキャラクターは、トキ。